人工知能を学ぶ学習の足掛かりにしたい入門書:「図解人工知能大全 AIの基本と重要事項がまとめて全部わかる」

2019年1月6日

 2018年10月発行で著者は古明地正俊、長谷佳明。いずれも野村総合研究所上席研究員。

 いまや「人工知能」や「AI」という言葉を聞かない日がない。事例を挙げたらきりがないくらい、あらゆる分野で導入が急がれている。しかも、とんでもないスピードで。自分もそんな流れにあらがえず、仕事の必要性もあって、人工知能を学ばざるを得ない状況に追い込まれている。

 とはいえ、自分にとって人工知能といえば「ドラゴンクエストⅣ」(ファミコン版)のあの「人工知能」がいわば最後の記憶。自分にとって人工知能とはすなわち、ボスに向かってザラキを連呼して無能呼ばわりされるクリフトでしかない。そんな自分も人工知能を学ばねばならないとは、一体どんな時代なのだろう。

 さて、本書は発行時点での人工知能最新事情のエッセンスから始まり、機械学習やディープラーニングという、ポピュラーになりつつある関連用語や知識を順番にたどる。それらを踏まえた上で、具体的な活用事例を通して、金融や運輸・自動車、医療や農業など、各分野でどのように導入されているかを具体例で紹介。さらに各業界での活用について方向性を示す。

 また、AIプラットフォームの紹介などを通して、運用に向けた開発や導入はどうすればいいのかというエッセンスにも触れる。人工知能を使うにはそもそもどうすればいいのという基礎の足掛かりも教えてくれる。

 そして、これらの基礎を経た上で、研究最前線事情の解説や国内外情勢のレポートを通して、何より人工知能開発・導入に向けた人材育成の重要性などを指摘する。

 全体的に人工知能の知識と業界について、現状を俯瞰できる内容になっている。概念だけでなく、実際に走っているサービスや技術がソース明示も含めてカバーされており、ぼんやりせずにイメージもつかみやすい。あくまで第三者的な視点から業界と知識を眺める構成で、初心者でもある程度は頭の中に人工知能がなんたるかを組み立てられる。

 前述の通り、GoogleやAmazon、IBMなどがトップを走るサービスやプロジェクトが具体的にレポートされている。具体的な名詞があるのはこれから学ぶ者にとってありがたい。業界のスピードが速くて時代遅れになろうとも、この固有名詞を足掛かりに学習を進めることができるからだ。その意味では、入門の入門として重宝する初学者向けのいい本だと思っている。

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