笑いを表す「w」の後ろには「。」を入れるべきか否か

2014年1月9日

 笑いを示すネット上特有の表記である「w」だが、もはや津々浦々まで浸透した感がある。ニコニコ大百科によると2ちゃんねる発祥とのことだが、すでに2ちゃんねるにあまり縁がない人もSNSなどで「(笑)」を表現するために「w」を使うようになっている。

 さて、広く使われることで市民権を得た「w」だが、たまに「w」のあとに句点すなわち「。」を入れる人がいる。例えば「これはひどいw。」といった書き方だ。「これはひどいw」ではだめなのか。おそらく文の終わりを表現するために句点を丁寧に入れているのだと思うが、どうにもこうにも違和感を覚えてしまうのだ。なぜだろうか。

「w」は感嘆符ではないのか

 この違和感の原因を突きとめるためには、まず「w」は感嘆符なのではないかということを議論しなければならない。「w」は感嘆符なのだろうか。果たしてこれは言語学で扱われるべきことなのかどうか分からない。もちろん自分はその専門家ではないしそのあたりの知識はない。

 ここでいう感嘆符とはクエスチョンマークの「?」やエクスクラメーションマークの「!」のことだが、Wikipediaを読んでみると日本語においては正書法にないとのこと。それだけに人によって用法がまちまちで統一された書き方がない。書き方が定まってないだけに意味合いも人それぞれになっている向きもあるようだ。

 一般的用法についてはいまさら説明するまでもない。「?」は疑問や質問、「!」は驚きなどをそれぞれ表現している。つまり、この記号を使うことで文に込められている意味を強調していると言っていいだろう。

 さて、ここで考えたいのは「w」が感嘆符であるかどうかということだ。「?」と「!」の用法で考えると、「w」も感嘆符と見なしていいのではないか。文末に「w」を付けることで、その文が笑いという要素を帯びていることを表現できる記号なのではないか。

 元々「(笑)」が略されることで「w」になったという成り立ちから考えると、その文を笑いながら言っている、または書いているという意味を与える記号と見てもいいのではないだろうか。つまり、「w」は感嘆符になっている可能性が高い。「!」の意味に近いのではないか。

感嘆符のあとに句読点は入れない

 「w」が感嘆符だと仮定して、今度は「。」を付けるべきかという点を考えたい。

 一般的に、感嘆符の後ろには句読点を付けないルールになっている。そのルールブックとして、ここでは共同通信社の「記者ハンドブック 新聞用字用語集」を使いたい。この辞書は新聞記事を書くときのルールを細かくまとめた内容で、全国紙をのぞく一般の新聞社はこの辞書のルールで記事を書いていると考えていい。ちなみに普通に本屋さんで手に入る。

 さて、この辞書には感嘆符の用法はどう書かれているか。

4 段落の最後の文が「?」「!」の符号で終わるときは句点を付けない
5 文末が「?」「!」で終わるときは句点を付けず、その後1字あける。しかしこれらの符号の次が『」』「)」「〟」のときは1字あけしない。
(p.124 第12版、強調は引用者)

 この統一された用法によれば「まじで?。」という書き方はよろしくないということになる。「まじで?」と書かなくてはならない。

「w」は感嘆符なので後ろに句点は不要

 ここまでくれば結論が見えてくる。「w」を感嘆符と仮定した場合、感嘆符の後ろには句点を付けないという用法が一般的であり「これはひどいw。」という書き方は誤り。正しくは「これはひどいw」と書かなければならない、となる。また、改行せずに次の文を続けるときは1字あきが必要ということになる。「ちょwwwおまwww」は厳密には「ちょwww おまwww」と書かなければいけない。

 もちろんこの結論は素人が適当に考えたことなので反論や諸説があるに決まっている。ていうか相当強引だ。それに「w」を場合によっては「ワラ」と読み替える場合があり、こうなると発音をしない感嘆符とは違う記号と解釈できる。それならば「w」の後ろに「。」を入れてもいいことになる。はてさて。

まとめ

 いろいろ書いたがもうどっちでもいいと思う。寝る。

記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集

一般社団法人共同通信社

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