祝・桜玉吉新連載!

2013年9月1日

 週刊文春で桜玉吉氏の連載が始まった。うれしい。「ファミコン通信」を毎号欠かさず買っていた子どものころから「しあわせのかたち」が大好きだった。

 初期の作品は、テレビゲームを素材に子どもも読める楽しいギャグマンガが中心だったが、後期になると私小説ならぬ「私マンガ」になる。

 「幽玄漫玉日記」によれば、軽度のうつ病になっていたということも明らかに。しかし、それすらも笑えるマンガにしてしまうところがすごいと思う。「しあわせのかたち」時代から、身体のあちこちの不具合でたまに休載をしていたけれども、それらもきちんとネタにしてしまう。

 そうやって自分の身を削りながら作品を生み出していくところに、玉吉作品に引き寄せられる何かがあるんじゃないかと思っている。ひょっとすると、真の創作活動とはこのように自分の生命を削り取りながら表現をすることなのではないかと。とはいえ、作品の中では文学作品にありがちなそういった悲壮感はまずない。だからこそ面白い。

 また、作家はこうやって自身の苦境を基にした創作に晶華させることで、それらに折り合いをつけることができるのかもしれない。

 くだんの週刊文春のマンガは、いきなり漫画喫茶にこもっているというなんとも香ばしい近況から始まる。ここからどのように転がっていくのか。今後の展開がとても楽しみだ。

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