「世の男子よ、恋に悩め」…?:徒然草・第三段
2013年7月20日
前段から続く「あらまほしき」シリーズ。今度は恋愛をテーマに語っているのだが、恋愛はなあ、ちょっとなあ、よく分からないからなあ…。
【第三段】
よろづにいみじくとも、色好まざらん男(おのこ)は、いとさうざうしく、玉の杯(さかづき)の底なきここちぞすべき。
露霜にしほたれて、所さだめず惑ひありき、親のいさめ、世の謗(そし)りをつつむに心のいとまなく、合ふさ離(き)るさに思ひみだれ、さるは独寝がちに、まどろむ夜なきこそ、をかしけれ。
さりとて、ひたすらたはれたる方(かた)にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。
兼好法師は「どんなにデキル男でも、恋心に揺れて悶々とするような男でなければ面白くない。でも、女の子ばかり追いかけてると女性に思われてもいけないよ」と言っていると勝手に解釈するのだが、まあなんというか確かにそうかもしれない。
恋愛の不安定さをテーマにした作品は古今東西あるし、恋愛という一大テーマを含まない作品はないだろう。決してそれは悲劇ではなく、人間性を高める一つのプロセス。男女の思惑がそれぞれぶつかり、駆け引きがある。その中で相手を思いやるという心情がはぐくまれ、結果として人間のあるべき姿へとつながる。
こういったことも貴族社会に長くいた兼好法師が、その社交界の中で見出した真実なのだろうと思う。