2022年3月

　便利な世の中になったもので、ヨーロッパのニュース放送局が放送をそのままYouTubeでライブ配信してくれている。説明するまでもないが、時差のため日本の夜中の時間帯は、ヨーロッパではちょうど昼から夕方にさしかかる時間。さまざまな動きがリアルタイムで動いている時間帯であり、放送も現地で動いている状況をそのまま生中継で伝えている。さらに、国連本部があるアメリカもちょうど午前中の仕事が始まる時間だったりするので、各ニュースチャンネルは忙しい。そして、見る方も忙しい。

　おおむね視聴するのは以前から、SkynewsやAl Jazeera Englishが多かったのだが、ウクライナ情勢を受けてeuronewsといったほかのニュースチャンネルや、国連総会緊急特別会合を中継する国連公式チャンネル、ロシア側のRTなどへも手を広げ始めて収拾が付かない。しかも、ウクライナ国内のライブカメラも見放題。気が付くと窓の外が明るくなってきている。当然、極度の睡眠不足が日中に与えるダメージは大きく、仕事にならない。いやまあ、元々ろくに仕事してないけども。

　シリア情勢もそうだったが、ネットを介して非常に多くの情報や最前線での様子がほぼリアルタイムで手元に届く。キューバ危機以来という緊張状況の中、最前線のウクライナ国内を含めて今起こっていることを、そのまま接することができる。こういった環境が整うことは素晴らしいことである一方、ほぼ加工されていない一次情報をいかに受け止めて理解するかという、受け手の能力も問われる。ネット界隈では、マスメディアを通ることによって事実がねじまげられるといった考え方がまかり通っている。まあ、確かにそういう側面はあるだろう。ならば我々が一次情報だけで物事を判断できるくらいまで成熟しているかというと、それはそれで疑わしい。むしろ、一次情報あるいはそれに近い情報に振り回される危険性すらあると思っている。

　前述のYouTubeやSNSを中心とした発達で、われわれ一介の小市民もさまざまな情報にリーチできるようになった。しかしながら、文明の利器をもって自分でさまざまな情報を手に入れて操っているような優越感に浸っているうちに、実は各勢力の情報戦にすっかりいいように巻き込まれている可能性や危険性は常に忘れずにいたいところ。

ロシアのウクライナ侵攻フェイク動画にだまされないためには - NHK

　ちなみに冒頭で紹介したチャンネルは当然ながら全部英語。英語の放送が理解できるのかどうかと問われれば、全然無理としかいいようがないのでそれはそれ。でも英語のソースに触れると、日本語のニュースがいかにタイムラグがある上に内容が少なくなっているかということがよく分かる。やっぱり英語分かるようにならないとだめだわ。困ったものだが英語を学ぼうというモチベーションにはつながるのかな、とも。はてさて。