ファミコン通信 1986年6月20日号【創刊号】

ファミコン通信 創刊号 表紙(荒井清和によるべーしっ君のイラスト)

画像は復刻版/©ASCII

雑誌データ
昭和61(1986)年6月20日発行 第1巻 第1号 通巻1号
定価
290円
発行人
塚本慶一郎
編集人・編集長
小島文隆
発行所
株式会社アスキー

※本稿は2004年4月16日号特別付録「ファミコン通信創刊号 復刻版」の情報を基にしています。

 ここから歴史が始まった。

 時代はまだ「昭和」。メディアといえば新聞や雑誌、テレビ・ラジオがメーンであり、通信手段だって電話やファクシミリ、そして郵便がまだ主流という時代だった。インターネットなんてものは当然まだない。パソコン通信すらまだ萌芽の時期であった(はず)。そもそも、パソコンという機械すらまだまだ一般的ではなかった時代だった。偉そうに書いている自分も、まだ当時は小学生。テレビにつないで楽しげなことができる機械がある―。家庭用ゲーム機が怒濤のように広がっていった、あの時代の熱い雰囲気をかすかに覚えている。

 さて、広く知られているように「ファミコン通信」は「ログイン」からスピンオフした雑誌であり、後発でありながらも、紆余曲折を経て「週刊ファミ通」として生き残っている。創刊号の表紙はファミ通の顔「ネッキー」ではなく「べーしっ君」。また「290円」という定価に過ぎ去った時代の遠さを感じる。消費税だってまだなかった時代だ。

 特集のトップバッターは名作中の名作で、任天堂が誇るゼルダシリーズの第1弾「ゼルダの伝説」。そして、続く攻略特集は「グラディウス」や「スターソルジャー」など伝説的作品ばかりだ。ライター陣が織りなす記事は、あの時代特有のオーラを感じさせる、サブカルチャー文化を帯びた軽薄さのある文体だ。まだ活字が全盛だった80年代の雑誌文化を伝えており心地いい。ちなみに、今も連綿と続く「ファミ通町内会」は小島ファミ隆編集長のあいさつで開幕している。全体的に見通すと、試行錯誤にも入っていない荒削りな雑誌づくりが表出しているかもしれない。しかし、そこにはとんでもなく爆発的に拡大していく「ファミコン」というマシンを取り巻く、当時のはち切れんばかりのエネルギーを感じずにはいられない。かくしてここに、ゲーム・エンタテインメントの一大メディアとなる雑誌が産声を上げた。

誌面概況

表紙
イラスト:荒井清和/デザイン:山田康幸
表紙裏-1
広告:スクウェア 「キングス・ナイト」(FC)
キングスナイトの広告

なんかジブリっぽくてよくない? ©SQUARE

 ファミ通最初の広告はこれ。水彩手描きのアートワークが、デジタル全盛の今の時代からするととても新鮮。売り文句に「フォーメーションシューティング」という単語と「ニュータイプのロールプレイング」という、ぱっと見では矛盾する表現が使われているのも面白い。

 あと、「違法性が極めて強い、ファミコンカセットのダビング機が出ていますが、このプログラムは絶体コピーできません。」という注意書きがある。この時期の広告にはこのような注意書きがある。そういえばなんか、コピー機が出てきているというようなニュースも見たような気がする。そして、あったらいいなと思っていた少年時代。

2-3
目次
4-5
5号連続創刊記念大プレゼント
編集部の3人

左から水野店長、東府屋ファミ坊、ゲヱセン上野。なんだかのどかである。 ©ASCII

 ファミ通のキャラクターといえば松下進氏による「ネッキー」がすでに一般的であり、特集ページに登場する傾向がある。しかし、創刊号で前面に出ているのは荒井清和画伯が描いた「東府屋ファミ坊(塩崎剛三)」「水野店長(水野震治)」「ゲヱセン上野(上野利幸)」という編集者の3人。創刊号はほぼ3人くらいで作ったという証言をどこかで読んだ記憶があるのだが、おそらくこのメンバーだったと推測できる。編集者やライターが誌面にて前面へと出てくる、当時の雑誌の雰囲気が分かる。

 ちなみにプレゼントは1万人に当たるという内容で、ソフトウェアの他に、おそらくこれに併せて作ったであろうファミ通のオリジナルグッズ。べーしっ君のステッカーとかキーホルダー、消しゴムなどがあり、現在でも持っている人がいれば相当のプレミアが付くはず。

6-7
ファミ通TOP30

 1位は「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境」(バンダイ)で、「スーパーマリオブラザーズ」(任天堂)が続いている。スーパーマリオについて「発売後8ヵ月もたつのにこの人気とは、さすがだね。」という表記あり。確かにあの当時は本当にブームの最先端であり、テレビ画面の中を縦横無尽に動き回るあのひげのオヤジの登場は、まさに社会現象だった。

 さて、ランキングには「マイティボンジャック」「謎の村雨城」「影の伝説」があり、懐かしさを感じずにはいられない。ちなみに7位の「忍者ハットリくん」は自分が初めて購入したソフトなのだが、肝心の本体をなぜか持っておらず、茶色のカートリッジをながめるだけで過ごした少年時代。経緯を全く覚えていない。あれはなぜだったのだろう…。

8
読者が選ぶTOP20/ディスクライターTOP10

 ディスクライターTOP10は、よく見ると8位までしかない。まだラインナップがそれだけだった、という時代。まだまだディスクシステム自体が出始め。おもちゃ屋さんにあったディスクライターが懐かしい。何十年後にはゲームのダウンロード頒布が普通になった。それをすでに視野に入れていたかのような仕組みで、今思うと任天堂にはとてつもない先見性があったことがうかがい知れる。

9
U.S.A.TOP10/海外特派員レポート

 トム・ランドルフによるレポート。アメリカでのファミコン(Nintendo Entertainment System、NES)の発売は1985年ということで、まだまだ現地では発売から間もない時期ではあるものの、「おもちゃ屋さんのファミコン売り場には、いつも子供たちがむらがっています」という紹介。ファミコン本体とセットになっている光線銃が店頭では人気というレポートや、グラフィックの質の高さが評判という現地の事情を伝えている。確かにATARIのゲーム機を思い起こせば、ファミコン(NES)の初期タイトルのレベルの高さが評価されるのも分かる。TOP10の1位は「スーパーマリオブラザーズ」。アメフト(っぽい競技)を楽しむゲーム「10ヤードファイト」が5位に入っているのはやはりアメリカっぽさがある。

10-13
SOFTWARE REVIEW
・ゲヱセン上野「ゼルダの伝説」(FCD:任天堂)
・アルト鈴木「影の伝説」(FC:タイトー)

 ソフト批評のコーナーだが、パソコン誌の系譜を強く受け継ぐ性格を感じる。軽薄な文体でありながらも、カタログ的な紹介ではなく、批評の色合いが強い。

 第1弾は「ゼルダの伝説」(任天堂)で執筆はゲヱセン上野(上野利幸)だが、原稿の半分を技術面からの批評を繰り広げてるところが特徴。オープニングのBGMで鳴り響く、あの鐘の音の作り方について解説しているほか、スプライトという単語を使いながらキャラクターのなめらかな動きを賞賛するなど、技術ライター目線での評論が光る。また、「影の伝説」(タイトー)の解説はアルト鈴木。肩書きが「元・タイトーの開発スタッフ」とあり、古巣のゲームをレビュー。

14
広告:エニックス 「ドラゴンクエスト」(FC)
15
広告:エニックス 「ポートピア連続殺人事件」(FC)「ドアドア」(FC)
16
広告:タイトー 「影の伝説」(FC)
17
広告:アイレム販売 「スクーン」(FC)「ジッピーレース」(FC)「10ヤードファイト」(FC)「スペランカー」(FC)
18-39
最新ゲーム徹底解剖
・「グラディウス」(FC:コナミ)

 いわゆる「裏技」の紹介があり、ここであのかの有名な「上上下下左右左右BA」の「コナミコマンド」も明かしている。そして、特別付録と銘打ってステージ1~7のマップを掲載しているが、おそらく写真から起こしたイラストとみられる。手間がかかっている。

・「魔界村」(FC:カプコン)
・「スーパーチャイニーズ」(FC:ナムコ)
・「ドラゴンクエスト」(FC:エニックス)

 「同時進行連載RPG実況中継①放浪篇」と題して、がんま鈴木とゲヱセン上野が掛け合いを続けるというスタイルでゲームの流れを紹介している。ファミコン初の本格的なRPGということで、どのようにゲームの雰囲気を伝えるかという点で思案した結果なのだろうか。その他、武器屋と道具屋で購入できるアイテムの一覧と、敵のヒットポイントを網羅。ネットで簡単に情報が手に入る今と違い、当時を考えると、これだけでもプレー進行を大いに助ける情報だったのだろう。

・「バードウィーク」(FC:東芝EMI)
・「スーパーマリオブラザーズ2」(FCD:任天堂)
・「スクーン」(FC:アイレム)
・「東海道五十三次」(FC:サン電子)
・「スターソルジャー」(FC:ハドソン)
40
NEW SOFT
NEW SOFTのページ

発売前の新作情報だが、まだラインナップは6本だけ。参入メーカーも少なく本数もまだまだという当時の状況が伝わってくる。 ©ASCII

・「キングスナイト」(FC:スクウェア)
・「スーパーピットフォール」(FC:ポニー)
・「テラクレスタ」(FC:ニチブツ)
・「倉庫番(仮称)」(FCD:アスキー)
・「コスモジェネシス」(FC:アスキー)
・「レイラ」(FC:デービーソフト)
41
ファミ道楽(1)
・店長のおたべ事件発覚
・第1回隠れキャラパフォーマンス大会
・選抜ファミ通野球リーグ戦成績
・コナミの紙尾明美ファンクラブ結成
紙尾さん。

コナミ広報の紙尾さん。ファンクラブ入会規定も書かれているぞ。今すぐ応募だ。 ©ASCII

 なんというか、企画の内容を考えるのに大変だったのだろうなと推測してしまうのだが、編集部内の近況を伝える構成になっている。「店長のおたべ事件発覚」は、水野店長がスーパーマリオ2の取材に任天堂へ赴いた際、京都帰りの新幹線におみやげの「おたべ」を忘れたというだけの内容。

 そして、コナミ広報の紙尾明美さんのファンクラブ結成という謎記事。荒井清和画伯によるイラスト付きで、編集部メンバー以外の肖像としては初めてではないだろうか。そもそも、メーカーの女性社員をつれてきてファンクラブ結成とか、現在のコンプライアンスうんぬんでは難しそうな企画ともいえる。いろいろ緩やかな時代だった。ちなみにファンクラブの名誉会長は東府屋ファミ坊で、会長はゲヱセン上野。まあなんというか、綺麗な人だったんだろうなと推測。今もお元気なのだろうか、紙尾さん。情報求む。

42-43
タジリプロと澁澤先生の「指・鍛錬道場」(1)
・グラディウス/黄金の城/ダーウィン4078/ファンタジーゾーン/スクランブルフォーメーション
・マンガ KSG「ゲーセン店員チャンプくん」

 タジリプロは、当時ゲームライターとして活躍し、後にポケモンを生み出す田尻智。ゲームプレイヤー集団「ゲームフリーク」として、確か同人誌の発行などを行っていたはず。その後、世界的ヒットを飛ばすポケモンを送り出した。さて、コーナーの内容はファミコンやアーケードゲームのテクニックを特集する目的で、裏技とは違う攻略法を取り上げている。まだ第1回ということもあり、タジリプロと同じくメンバーの澁澤龍彦(有名な作家・評論家と同姓同名)がテクニックを紹介している。イラストは同じくゲームフリークの杉森建。

44-45
水野店長の「もう一度逢いたい」(1) 「マッピー」(FC:ナムコ)
46-47
ファミコン通信おすすメディア
・本:「軽い機敏な仔猫何匹いるか」(土屋耕一:角川文庫)
・本:「シャドー砦の魔王」(オリバー・ジョンソン:創元推理文庫)
・ビデオ:「アタック・オブ・ザ・キラートマト」(東映ビデオ)
・東京ディズニーランド公認インフォメーション

 ゲームに限らない総合誌を目指していた方針を感じさせる一角で、後に「NEW'S CLUB」につながるその端緒といっていいだろう。

 「シャドー砦の魔王」はアドベンチャーブック。そういえば昔はアドベンチャーブックってあったなぁと。そして、ビデオソフトの紹介は「アタック・オブ・ザ・キラートマト」という渋いチョイス。どういった事情なのかは分からないが、この創刊号から東京ディズニーランドのイベントといったトピックを紹介するコーナーも始まる。最初のテーマは「ドナルドダックの52回目の誕生日!!」。まだディズニーシーなんてものはなかった時代である。

48-49
INFORMATION
・べーしっ君ついにアニメ化/カートリッジだって洗ってほしいっ!/パイルドライバーができる!/コイズミKYON2とファミ通のアヤシイ関係!!
・新作カレンダー
・先取り新作情報

 新作ソフトの発売スケジュールを紹介するカレンダーは、まだまだスカスカの状況。ラインナップは3本だけで、ほかはファミ通本誌と月刊ログインの発売日だけにとどまっている。

50-52
創刊記念大プレゼントパート2 ファミ通ジャンボプレゼント
53-60
永久保存版その1 「謎の村雨城」(FCD:任天堂)

 8ページを使った特集で、村雨城までの全マップを公開。ゲーム紹介に特化している現在の動向と違い、ゲームの攻略に完全に軸足を置いているのがわかる。

61-63
ファミコン出前一丁!(1) 今回は三宅裕司さんの登場

 幼少期に購読していた時、「なんで”出前一丁"なんだろう」などと疑問に思っていたが、第1回を読んで納得。岡持ち(と称したカメラケース)に8インチモニターとファミコン本体、バッテリーなどが収納されており、それを持って芸能人を訪ねるというインタビュー企画だった。なるほど。そして、第1弾のゲストは三宅裕司。

64
広告:アスキー 月刊「ログイン」
65-72
ファミ通町内会
・町長さんのごあいさつ 小島ファミ隆

 「ファミ通町は、そんなファミコン仲間の心の故郷。みなさんも町内会に参加して、この町を発展させてください」。「ファミ通町町長」の小島ファミ隆氏のあいさつで開幕したファミ通町内会。ファミ通町内会は今も発展を続けているのは言うまでもない。各コーナーへの投稿や、新たらしいアイデアなどを募っているが、その後の町内会とはまだまだ雰囲気が異なる。まだまだ少年誌の投稿コーナーのようで、後の通好みな内容を感じさせる雰囲気はない。

・ファミ通町内会からの広報
・ファミ乃湯さん提供 特大玉くらべ
・仁天寺境内ファミコン自慢大会
・ジョイパッド理髪店
・ファミ通町スクランブル交差点
・今週の運勢
・街で見かけた大ファミ少年コーン
・こちらファミ町前派出所
・ファミ通町内会LETTERS伝言板

 LETTERS伝言板は町内会に内包された形でスタート。第1号ということもあり、内容はまだまだ純然たる読者お便りの紹介といったところだが、すでにネタページの趣がにじみ出ている。どういう理由なのか分からないが、4コママンガの「べーしっ君」は2本を掲載している。ちなみに、ファミ通最初の作品でべーしっ君がオチで発しているのは「すぽーん!」。

・マンガ 荒井清和「べーしっ君」
73-91
ファミ通㊙情報部 禁断の秘技 主幹:ガスコン金谷/副幹:ゲヱセン上野
・ディグダグⅡ/影の伝説/魔界村/ゼルダの伝説/グーニーズ/B-ウイング/アトランチスの謎/忍者ハットリくん/ドラゴンクエスト/オバケのQ太郎 ワンワンパニック/ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境/アーガス/ゴルフ/ツインビー/マグマックス/ジャイロダイン/グラディウス/マイティボンジャック/タッグチームプロレスリング

 いわゆるゲームの裏技を紹介する「禁断の秘技」。ステージセレクトやワープ、ノーデスなど、初期のゲームソフト特有の秘技が並ぶ。その他、裏技というより攻略法の意味合いが強い項目も。あと、「B-ウイング」については、最後のエンディングメッセージを掲載してしまっている。また、「グーニーズ」は、主人公を別のオブジェクトを重ねて表示させたら面白いという見せ方を紹介。「大根足」「おもらし」「ふんどし」といった「ひょうきんポーズ」を列挙しており、秘技というか何というか、いわゆる「キンタマリオ」的な視点。投稿者にはガバスと図書券がプレゼントされるが、ガバスの表記は「GVS」ということを知る。

・ガスコン金矢のファミリークッキング
  マイティボンジャック/サーカスチャーリー/グーニーズ/パックランド

 ゲーム画面ではなく、マンガでゲームのテクニックを紹介しているコーナー。なんか当時は別の雑誌でも、マンガでゲームの攻略法を紹介するという記事が多かったような記憶がある。

91-94
ゲヱセン上野の「以下同文」

 「ファミ通㊙情報部」に内包されているコーナーだが別項とした。ゲヱセン上野が、Q&A形式でゲーム攻略などについて読者の質問に答えている。ただし、回答の大半はネタを含んでいるもよう。「コントローラーをふり回さないとゲームができないんです」という質問(?)に対しては、「ロープで縛れ」「自分の周りに火をたいておけ」という回答が示されている。いやいや。

94
こちらゲームスタジオ 遠藤雅伸の「プロダクションノート」(1)
95-96
ファミコン通信ガバスシステム
97
禁断の秘技大募集っ!!
98-99
広告:アスキー 「コスモジェネシス」(FC)
100-101
広告:アスキー 「倉庫番」(FCD)「キャッスルエクセレント」(FC) 他
102-103
マンガ 桜玉吉(CEP)「しあわせのかたち」
104-106
パソコンゲーム通信(1)
・「ザナドゥ」(PC-8801等:日本ファルコム)
・ログインTOP20
・「ゾーン」(PC-9801:システムサコム)
107-109
ビデオゲーム通信(1) タジリプロ(田尻智)
・「TOYPOP」(ナムコ)

 後に「ビデヲゲーム通信」や「ビーム通信」と改称を続けながら長くアーケードゲームを紹介することになった枠。第1弾を手がけているのは本誌でも八面六臂の活躍を見せる田尻智。

110-111
マンガ 山口一和「どーでもいーけど」
112
EDITORIAL INFORMATION
113
広告:HAL研究所 ジョイボール
裏表紙
広告:任天堂 「スーパーマリオブラザーズ2」(FCD)

※FC:ファミコン FCD:ファミコンディスクシステム

Memoranda

 結局、創刊号を入手できずじまいで、復刻版を使っての振り返りとなった。調べてみたらYahoo!オークションなどで出品されているのが確認できたものの、やはり相当な価格が付いており手出しできなかった。残念。

 ページをめくると、1986年という時代もあってか「手作り感」が伝わってくる。デジタル技術で作り出されている、現在の雑誌に見慣れた目から見ると、隔世の感がある。一方で当時の雑誌作りの大変さも感じられる。広告だってイラストが手描きであったり、写真もモニターを直接撮影したものであったりと、まさに「アナログ」な様子。だがそれがまたいい。

クロスレビューの前身か 「SOFT天気予報」

「SOFT天気予報」

「ゼルダの伝説」(FCD:任天堂)を評する「SOFT天気予報」©ASCII

 ソフトウェアレビュー(p.10-)を読んでいて気になったのがこれ。ページの右下に、コーナーのシメのように配置されているハコ。マトリックス表にして、複数のレビュアーが天気予報を模して評価を付けるというスタイルなのだが、なんだかこのスタイルに既視感がある。そう、あれである。ファミ通の名物コーナーでもある「クロスレビュー」である。

 この「SOFT天気予報」が本当にクロスレビューの前身になったかどうかは分からない。とはいえ、異なるレビュアーによる評価を天気予報という評価形式で採点し、それぞれ比較できるという点はクロスレビューに通ずるものがある。そもそも予報官ごとに予報が異なるっていう時点でどうなんだというツッコミは置いておいて、ゲームに対する評価の多様性を表現するには分かりやすい評価だと感じる。

ゲヱセン上野、「禁断の秘技」の裏側をバラす 創刊号なのに

 ゲヱセン上野が読者からの回答を担当する「以下同文」に、こんな質問が寄せられている。

よく雑誌に、スゴイ裏技なんかが載ってますよね。僕はそういう裏技が見つけられないんです。(p.93)

 「スゴイ裏技」とカタカナにするあたりが当時ならではのセンスなのだが、まあそれはともかくこのような疑問・葛藤はやはり当時のゲーム少年たちは抱いていただろう。自分もそうだった。どうやったらそこまで鮮やかな裏技を見つけることができるのだろうか。まったくもって想像がつかなかったものだ。

 というわけで、そんな疑問にゲヱセン上野が回答するのだが、なかなか元も子もない内容になっていて笑う。

あと、バラしちゃうけど、コマンド関係については、普通の人じゃ滅多に発見できません。これらのワザはプログラムの読める人が、ROM内のプログラムを解析して見つけだすことが多いのです(いいのかなー、こんなこと書いちゃって……べつにいいか、いいよな)。

 さすがパソコン雑誌の「ログイン」から派生しただけあって、やはり裏技探しには解析という「裏技」があった。パソコン・マイコン文化から続くような、ハッカー精神のようなものがある。そういえば、画面撮影のために無理やりファミコン本体を改造し、画面を一時停止できるようにしているって話も読んだことがあったっけ。考えてみれば、ただただゲームをプレーするという正攻法でコナミコマンドのような無敵コマンドやステージセレクト、ノーデスのやり方など分かるわけがない。こうやって堂々と裏側をバラしているのは、ゲヱセン上野の良心なのか、それともただのノリなのか。ここでは紹介しないが、きちんと裏技を探し出すための心構えやコツをきちんと紹介しているので、まあ良心なのだろうと捉えておきたい。

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